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『アベミノスク?』


百人一語 (新潮文庫)

百人一語 (新潮文庫)

  • 作者: 梅原 猛
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 文庫




政権が再び自民党の手に戻って『アベノミクス』だの何だのとやけに勇ましい。
成功すればめでたい事であるが、じゃがわしは失敗するであろうと思うておる。


理由として3つ、挙げよう。
一つ目は、『企業の業績が上がれば給与が上がる』などという考えは、もう前時代的発想じゃ。
リーマンショック以前が良い例であろう?
それを信じておる限りは失敗するしかなかろう。
今の企業は業績が上がっても内部留保に充てるか、さらなる拡大路線の為の資金とするか、どちらかであろう。
昔、アメリカの口車に乗って、ネズミを追い払ってハイエナを招き入れたからのう。
(この表現は余りよろしくない事はわかっておる。特に前半。
じゃが他に適当な表現を思いつかんかった。許してけろ。)
今の企業は自己防衛のために多大な労力を必要とされておる。
油断をするとハイエナのえさじゃ。
『己のことしか考えない』経営をしなければ、株主総会でたたかれる。
こんな状況で、社員の給与に回す余裕があったとしても、わずかなものじゃろうて。

二つ目の理由。
これはすでに指摘のある通り、非正規雇用の問題がある。
『経済は膨張する』というのが、経済の基本理念であるが、非正規雇用者の給与は膨張していかない。
もしくは、経済の膨張速度に著しく後れを取っておる。
これが経済の良好な循環を阻害する一因じゃ。
元々人件費の高騰を嫌って非正規雇用を多数使ったおるのじゃから、これもそうそう上がる筈はない。
これまでの雇用対策の無策のせいで、非正規雇用者はかなりの数に上る。
正社員だけ給料が上がっても、多数の非正規雇用者に引っ張られ、その効果は相殺される。
従って経済の良好な循環を作りえない。
この層をどうやって良好な循環の中に取り込むのか、その策が一向に見えてこん。
わしには、この層をどう取り込むのかがアベノ何とかの成否に深く係わってくる気がするのじゃが。

三つ目。
テレビや新聞でエラソーに解説しておる連中は、基本的に金持ちである。
施政者も、官僚たちも同様。
民主主義において議論は必要じゃ。
それは意見の違いもそうであるが、立場の違う諸氏が議論をして初めて意味をなすモノじゃ。
経済問題を議論するのに、経済的な立場の違う者同士が議論をしなければ、それは何の意味もない。
つまり、金持ちだけじゃなくビンボー人も混ぜろと。
金持ちだけでは見落とす論点や意見が、必ずある筈なのじゃ。
国はかつての『一億総中流』と言われた時代から、だんだんとアメリカ式な社会構造になるよう仕向けてきた。
アメリカと言うのは変な国で、超金持ち国でありながら、同時に貧困率の高い国でもある。
つまり、極端に二極分化しておる訳じゃな。
このいびつな体制を支えているのは広大な国土とそれに伴う資源、低い人口密度である。
何の背景も持たない日本の様な島国が、アメリカ式でやって行ける訳はなかろう?
こうしてシステマティックに作られたビンボー人達が、経済の良好な循環を阻害している。
彼らを消費の輪に取り込める程の経済レベルにまで引き上げるには、忍耐と莫大な投資が必要になる。
なにせ、金持ちには不況によるダメージは大した事なくても、わしらビンボー人にはエライダメージじゃ。
それがボディーブローの様に長年に亘って蓄積されておる。
そこのところを金持ち連中は判っておらん。
さらには年金制度の崩壊から来る将来への不安もこの層は高いから、このダメージと不安が解消されない限り彼らが消費の輪に入ってくる事はない。
消費よりまずは貯蓄、という訳じゃ。


これらに対する認識の甘さと対策の不在が、わしを『失敗』という結論に導くのじゃ。
失敗したら、また、「ボクちゃんお腹痛いの。もうお仕事できないの。」と言って辞めていくんじゃろうなぁ、あのヘタレは。
わしの見方は、わしら一般消費者に密接に関係するレベルでの話じゃ。
株や、投資のレベル、さらには輸出を主とする大企業のレベルでは、また違った評価があるのじゃろう。
しかし、国全体を良好な経済の循環に乗せるためには、わしら一般消費者まで取り込めなければ、一時的なムーヴメントにしかならないじゃろう。
それでは『大山鳴動ネズミ一匹』じゃ。
意味がない。
まぁ、あと、政治家や官僚たちが良くやる事であるが、「一定の成果をあげた」という言葉でお茶を濁すという事も考えられるのう。
官僚語の「一定の成果をあげた」を日本語に訳すと、「失敗しました」になるから、皆もよ~くこれからの動向を注視していこうではないか。

ん?
わしならどんな対策を講じるか、じゃと?
そうさのう。
株主総会はすぐに何とかなる問題ではないから放っておくとして、法人税の仕組みを変える。
人件費の向上が見られる法人には法人税の減免措置を講じる。
個人に対しては高額所得者の税率をあげ、その代わりに寄付による税額控除の対象を広げる。
どうせ税金で持っていかれるなら、寄付した方が気持ちが良いからのう。
これには国民に広く社会全体を見る目を養わせる働きも期待できる。

非正規雇用、特に派遣労働者に関しては、公的派遣を行う。
『公』であるから、利益は最小でも構わない訳じゃ。
その分を割り振れば、企業にも、労働者にもメリットになる。
公的派遣のメリットはそれだけではない。
労働の現場では『雇用のミスマッチ』の問題もあるが、公的派遣なら、待遇が確保された上で色々な仕事を試せる。
安心して自分に合った職場を探せる訳じゃ。
間接的にではあるが、『公』の目が入るから、問題のある現場は浮彫にされるであろうし、さらに色々試せる事で職業訓練の機能も一部賄える。
同時に、既存の派遣会社に対しては圧力をかける。
今、派遣会社同士が現場レベルで協定を結んでいる事を、どれ程の人が認識しておるじゃろうか?
これによって奴等は公正な競争から逃れて暴利をむさぼっている訳じゃ。
法に抵触する事じゃと思うがのう。

ビンボー人対策には少々時間がかかる。
現行の年金制度は放棄して新たな社会福祉の体制を整えるのが先決じゃ。
そうして、好景気が続けばこの層のほとんどは解消されるであろう。
ただ、考えようによってはこの層は『カンフル剤』として使える。
ビンボーであるがゆえに、欲しいモノ、必要なモノが買えないのがこの層の現状じゃ。
つまり、潜在的購買意欲はかなり高いと思われる。
そこでアレじゃよ。
アレ。
何と言ったかのう。
数年前に議論に上がっていた政府が直接発行する紙幣。
アレを使ってこの層にバラ撒くのじゃ。
一年間とかの有効期間を設けておけば、経済の下支えが出来るじゃろう。
ただし、ケチってはいかん。
どうせ国家財政に影響はないのじゃから、十万円位気持ち良くばら撒く事じゃ。
しみったれた根性ではしみったれた結果しか得られんからのう。
とりあえずはこんなとこかのう。


そろそろおねむの時間じゃ。
わしは寝る。





今週の一曲
George Benson / Earl Klugh 『SINCE YOU'RE GONE』





Collaboration

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
  • 発売日: 1994/11/30
  • メディア: CD



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