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『善悪の彼岸1』


生物としての静物 (集英社文庫)

生物としての静物 (集英社文庫)

  • 作者: 開高 健
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1994/02/18
  • メディア: 文庫




少し前の話題。
従軍慰安婦に関する橋下氏の主張を聞いた。
まぁ、概ね間違った事を言ってる訳じゃないけれど、
彼のおかげで従軍慰安婦に関する正しい議論が大幅に後退した結果だけが残った。
彼のやり方は一々挑発的すぎるのだ。
理性に働きかける前に、感情を逆撫でする。
事の善悪の前に、感情的な拒否反応が連鎖的に励起し、議論が入る余地を無くしてしまう。
その後に残った結果は、一政治家、一政党の浮沈などとは比較にならない程の大罪だ。

話を整理する為に、『過去の従軍慰安婦とそれに関する問題』、
『現在もなお続く基地周辺での性的事件』の二つに分けて話してみよう。


まずは従軍慰安婦の問題。
これは当時、多少の違いはあれ、各国が似たような制度を持っていたようだ。
何も日本軍に限った事ではない。
時代がさがっても、朝鮮戦争やベトナム戦争でも慰安所はあった。
日本軍の場合、業者(当時売春は公に認められ、街々に普通に売春宿があった)
と提携する方式をとったため、軍が直接募集する事は殆ど無かったと思われる。
 (かなりの高給で募集していた為、その必要はなかった、との指摘もある。)

慰安婦問題で特に問題になるのは、『軍による強制があったか否か』という点であるが、
所謂、『従軍慰安婦の強制連行』は吉田清治なる国賊
 (こいつが存命なら直ちに日本国を追放すべきである)
の虚言であるとほぼ結論が出ている。
日本側の調査でも、韓国のジャーナリズムの調査でも、否定的な検証結果しか出ていない。
てゆーか、吉田本人が虚言であることを認めている。
あの極悪非道のたかり魔・李承晩でさえ、従軍慰安婦に関して何も言及していない。
つまり、当時の認識としては何ら問題はなかったという事なのだろう。


人間は心身が危機にさらされると、性欲が増進するものである。
正確には自らの遺伝子を残そうとする。
これは生物としての本能である。
梅原猛先生も召集令状が届いた時、強烈に子供が欲しかったと語られている。
まして戦場における兵士たちは常に死と隣り合わせである。
性的衝動も旺盛であった事は容易に想像できる。
その本能から来る衝動を管理しようとするなら、慰安婦という存在は不可欠なのではないか?
はたまた管理せずに侵攻先の住人をレイプする事の方が良いというのか?
ノルマンディー上陸作戦後のアメリカ軍が、『フランス人女性をレイプしまくっていた』とする研究が、
他ならぬアメリカ人研究者から発表されている。
人として、どちらが下劣で罪深い行為なのかは、論を待たない。

ところで、我々が使う漢字は表意文字である。
なぜ彼女らが『慰安婦』と呼ばれるのか考えてみた事があるだろうか?
戦場に赴く兵士たちはほとんど常に死と向かい合っている。
死の恐怖に曝されている。
彼らの恐怖を和らげ、慰め、癒し、明日への活力を与える、その為の慰安婦でなかったか?
だからこそ、『慰安婦』と名付けられたのではないか?
この様に考えていくと、軍が従軍慰安婦を持っていたという事は、
人間の本質と人生の機微に通じた処置であるように思う。
そして、その中において慰安婦は、ほとんど『聖女』に近い意味合いを持つ。
彼女達がいたからこそ、兵士たちは一人の人間として(強姦などもせずに)雄々しく戦えたのだから。
そんな『慰安婦』を『制度例』と訳す連中のメンタリティーが知れない。
 (戸塚某。こいつも国外追放だな。)


『河野談話』等を見ると、『本人たちの意思に反して』とか、『女性の名誉と尊厳』とかの言葉が見られるが、
なんて空疎な言葉だろう。
根本的に、過去の事実や常識を現代の感性で評価する事はナンセンスだ。
政治家としては犯してはならないミスだ。
なぜなら、政治家は徹底したリアリストでなければならず、
過去の事実や常識を現代の感性で測ることは一種のファンタジーであるのだから。
 
本人たちの意思に反してというが、それはむしろ『当たり前の事』ではないのか?
春を売る事が公に認められ、親が娘を売ることが珍しくなかった時代においては、
売春も一つの職業であると考えるべきである。
『本人の意思に反した』職にしか就けない人は、往時はもちろん現在においても大多数であり、
むしろ望んだ職に就ける人の方が幸運であると言えよう。
それがたまたま春を売る仕事だっただけの事だ。
そんな女性は日本人・朝鮮人を問わず数多くいたはずだ。

それに、『名誉』や『尊厳』は誰かに守ってもらうモノではなく、
自らの道を、誇りを持って歩むことによってのみ生ずるものだと思う。
それがどんな道であっても。

そもそも慰安婦たちの客であった兵士たちの中の少なくない人たちが、
徴兵という名の強制により戦地に赴いたのではなかったか。
なのに、ことさら一部の慰安婦のみを取り上げて『本人の意思に反して』だの『名誉や尊厳』などと言う事は、
逆にその他大勢の粛々と自らの仕事に向かい合ってきた人たち(老若男女、人種を問わず)に対して失礼ではないか。
戦争は(善悪の評価は別にして)、兵士のみが戦うのではなく、国全体が戦うものだ。
戦場に赴かない者も、何らかの形で戦争に貢献する。
そして戦争とはそれ自体人権無視の愚行なのである。

長くなったので、『現在もなお続く基地周辺の性的事件』に関しては次回。




今週の一曲
ANDRE GAGNON 『めぐり逢い』


インプレッションズ

インプレッションズ

  • アーティスト: アンドレ・ギャニオン
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2001/11/21
  • メディア: CD



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