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『What's 富裕層?』


哲学への回帰―資本主義の新しい精神を求めて (PHP文庫)

哲学への回帰―資本主義の新しい精神を求めて (PHP文庫)

  • 作者: 稲盛 和夫
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: 文庫




ある金持ちの愚痴が議論を呼んでいる。
今回はこれに口を挿む。

まず言いたいのは、『金持ちには金持ち特有の責任がある』という事だ。
お金というものは社会があって(あるいは健全であって)、始めてその価値を有しうる。
極端な話をしてみよう。
例えば明日、日本の社会が崩壊してしまう、あるいは信用を無くしてしまう。
すると、その瞬間から円の価値は暴落する。
下手をすると、紙屑同然になる。
お金は沢山持っていても価値がないから、ビンボー人と大差なくなる。
もしかしたら膨れ上がった生活を維持する為に、
かえって金持ちの方が余計な苦労を強いられるかもしれない。
そもそも金持ちが金持ちになったのは、本人の才能や努力や運もあるが、
社会が健全さを保っていたからでもある。
なぜなら、社会が健全で安定しているほど、消費活動は活発になるのだから。
つまり、『金持ちほど社会の恩恵を受けている』という事だ。
もしもあなたがお金持ちなら、今日から社会のありがたみをかみしめるべきだ。
もしもあなたが人間として欠陥を持つ者でなければ、『社会に何か恩返しをしよう』と素直に思うだろう。
これが僕の言う『金持ち特有の責任』だ。

京セラの稲盛和夫名誉会長の様に財団を作るもよし、会社更生の為に無報酬で働くもよし。
あるいは、どこかの施設に寄付をする、とかでもいいんだ。
何か社会に還元する事を考えるべきだ。
それを考えない金持ちは、黙って沢山の税金を払えばいい。
国が使い道を考えてくれるだろう。
それにさえ愚痴を言うやつは―、
そんな富裕層はこの国にはいらない!


彼の主張では『なぜ富裕層が必要なのか』を納得するに十分ではない。
富裕層は偉いのか?
立派な人間なのか?
富裕層がいる事によって社会は何を得る?
ヨーロッパなど、ノブレス・オブリージュの概念がかけらでも残っている地域でなら、
富裕層は自らの果たすべき責任を他人から指摘されずとも自覚しているだろう。
しかしこの国で、縦の哲学を廃し一億総平民化したこの国で、富裕層の価値とは一体何だ。
豪奢な家を持ち、別荘を建て、庶民には手のでない高級車に乗り、
週末にはクルーザーでパーティーをして優越感に浸るだけなら、そんなのは社会に寄生するダニと同等だ。

かつての富裕層は『文化の守護者』であった。
ガラクタな音楽を垂れ流し、庶民からお金を吸い上げて喜んでいる奴には理解できないだろうけど、ね。
そんな奴等は『罪滅ぼしに多額の税を納める』とでも考えて、あきらめるのが適当だろう。



まぁ、一個人の妄言に対して一回分のブログを丸まま使うのもアレなんで、ちょっと余計な話をしてみる。
僕は門外漢だから算定できないけれど、経済の専門家ならこの国の経済が良好に循環して行く為にはどの位の通貨が流通する必要があるのか、数値として指し示す事が出来るのではないかと思う。
今の経済学が単なる博物学に堕していなければ、だけど。
実際流通量がその数値を下回れば『不況』になる、という事だ。
かつて、一億総中流と言われた時代には多くの人がこの循環に参加できた。
従って、経済の良好な循環を保つ事は比較的容易に出来た。
しかし現在は格差社会であり、この循環に参加・貢献できる人は限られている。
格差社会を『是』とし、なおかつ好景気を望むなら、
循環に参加できる富裕層にガバガバお金を使ってもらうしか解は無いわな。
『無駄遣いを税控除の対象とする』、等の施策を用いて。

今はそういう風に動いていないけれど、国家財政を考える時、
近い将来必ず大ナタを振って支出を大幅に削減しなければならない時が来る。
組織をスリム化しなければならない時が来る。
(それこそ数年前から政治家に期待している事なんだけど、連中、バカな上に利己的だから…。)
同時に税金のあり方も考え直さなければならないだろう。
それこそ本当の意味での行財政改革だ。
それはほとんど『社会をリデザインする』行為に等しい。
その時に上記数値が役立つのではないかと思う。
その数値を満たす流通量を永続的に確保するためにはどのような社会構造が望ましいのか…、
と逆プロセスから考えていく事は出来るだろう。
そうやって出来た社会は、恐らく、不況に強い安定した社会になるだろう。

税金も、現在は税として集積し、各省庁に振り分けてから社会に還元されている。
これを寄付に置き換えられられるモノは全て置き換える。
寄付は基本的に(その割合は別として)税控除の対象とする。
省庁は寄付が変更しないよう、控除率を微調整しながらその均衡を図る。
こうしておけば、同じ額を納めるにしても寄付による出費の分は自らの意思によるものなので、
納税者の満足度は高くなるだろう。
また、税に対する意識も向上するし、多くの国民が広く社会を見渡し、理解を深めるよう導く事も出来る。


何れにせよ、我々国民はもう少し広く社会に目を向けたほうがいい。
愚痴を言うなら、そのうえで言うべきだ。





今週の一曲
LED ZEPPELIN 『Stairway To Heaven』


Led Zeppelin 4: Zoso

Led Zeppelin 4: Zoso

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Atlantic / Wea
  • 発売日: 1994/07/18
  • メディア: CD



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