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『YOU MORE !』


食卓は笑う (新潮文庫)

食卓は笑う (新潮文庫)

  • 作者: 開高 健
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/08
  • メディア: 文庫




フランスの週刊誌が、東京五輪決定の報を福島の原発事故を絡めた風刺画を掲載した問題が物議をかもしている。
日本側の講義にも、『日本人はユーモアが足りない』と開き直りにも似た態度をとっている。

ナルホド。
ユーモアね。
ユーモアは確かに大事だ。
個人的には『食べる事と味わう事には雲泥の違いがある。人生を味わうにはユーモアが必要だ。』と思っている。
だからユーモアの大切さは分かっているつもりだ。
ところで、『ユーモア』を日本語に訳すと、「あなた、もっと!」という意味になる。
なーんちゃって。うぷぷっ(笑)。
…。
…。
い、いや、なんでもない(汗)!

コホン。
西洋の風刺画は、古来、権力のあり方を揶揄し、暗にそれに対する批判を込めていた。
だからこそ、意義があった。
ユーモアやアイロニーは、弱者が強者に抵抗を続けていく為の武器であったのだ。
それは決して弱者を揶揄したり、傷つけたりする為には用いないものだ。
だからこそ、ユーモアには価値があるのだ。
もう一つ、ユーモアには知性が必要なんだ。

んで、問題の風刺画を見る。
え~と、どこが面白いのか分からないんですけど…。
彼らが何を批判し、何を指弾し、何と戦おうとしているのか、全く判らない。
少なくとも、この絵に風刺画としての価値は見いだせない。
こんな、口から入れたモノがそのままお尻から出てきたような、
知性のカケラもない様な絵を持ってきて、『ユーモアでござい』と言われても、溜息しか出ないよ。
もしも彼らがこの絵がユーモアであると、本気でそう思い、そう発言しているなら、我々は悲しむべきだ。
『(憧憬と共に仰ぎ見ていた)フランスのエスプリは地に落ちた』と。

この『カナール・アンシェネ』なる週刊誌が、
フランスの出版界でどのような位置を占める雑誌なのか、知らない。
問題の絵を見る限りは三流雑誌だと判断するしかないけど。
だけど、仮にもジャーナリズムの端くれであるならば、
きちんと取材してからその成果を記事として載せるべきだ。
写真やイラストも同様に、取材の成果を反映したものでなければなるまい。
彼らは震災直後の被災地を見たのか?
復興途上である今を見たのか?
フクシマを見たのか?
福島の、帰りたくても帰れない、復興にも手をつけられない人たちの苦衷を、
いら立ちを、あきらめを、悲しみを、絶望を、苦悩を見たのか?
これらを知ってなお、彼らがこの絵を肯定するなら、
彼らの人間性にはシンコクな欠陥があると断じなければならない。
この絵が福島の人達にどれほどの苦痛を与えるのかを思いやることすら出来ないのだから。
もしも、取材もせず、何も考えずにこの絵を掲載したのなら、
彼らはきっと、ジャーナリストの魂や誇りをトイレに流してしまったのだろう。

不快なのは、この世界には色々な価値観や感性を持つ国がたくさんあるのに、
彼らが、すべて自国の価値観をごり押ししているところだ。
価値観の違いはどうしようもないが、
(知らずに)人を傷つけることになってしまったのなら、せめて謝罪くらいはすべきだ。
それが人としての勤めであると思う。
それすらしないとは、フランス人とは、斯様に傲岸不遜で、礼すら弁えていない民族であるのか?
それとこの絵を見る限り、我々がフランスを敬愛し知っているよりも、彼らは遥かに日本の事を知らない。
日本を揶揄する時のステレオタイプに類するものだからね、この絵は。
これも残念なことだ。


何れにせよ弱者であり、苦難の中にある多くの人を傷つけてまで低俗な笑いを提供する事をユーモアとは言わない。
敬意にも値しない。
あっ。
もしかして、カナール誌の編集者一同は、
すでにスーパーフェニックスの毒にやられて全員ラリってしまっているのかな?
だったら仕方ないな。


最後に一つ質問。
もしもフランスが大災害に襲われたら、僕らはフランスに対してどんな反応をすればいいのだろうね?





今週の一曲
THE STYLE COUNCIL 『Dropping Bombs On The Whitehouse』


Cafe Bleu

Cafe Bleu

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal I.S.
  • 発売日: 2000/08/31
  • メディア: CD



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